地域医療を支える:訪問看護と総合診療医による訪問診療制度の構築

令和の日本に求められる新たな医療の形:訪問診療で医療困難地域を救え

近年、少子高齢化の進行に伴い、日本各地で医療資源の偏在が深刻化しています。特に、過疎化が進む医療困難地域では、病院までのアクセスが悪く、通院が困難な患者さんが増えています。そんな中、訪問看護に加え、総合診療科医師による訪問診療制度の構築が急務だと感じています。

医療困難地域の現状

私が実際に訪れた、ある山間部の集落では、最寄りの病院まで車で1時間以上かかります。高齢者が多く、運転免許を返納した方も少なくありません。バスの本数も限られており、通院は容易ではありません。また、診療所はあるものの、常勤医師がおらず、週に数日しか診療を受けられない状況です。

このような地域では、たとえ体調が悪くても、なかなか病院に行けず、症状が悪化してから救急搬送されるケースが後を絶ちません。また、慢性疾患を持ちながら適切な治療を受けられない患者さんも多く、健康格差が拡大しています。

訪問看護だけでは不十分

現在、医療困難地域では訪問看護が重要な役割を果たしています。看護師さんたちが患者さんの自宅を訪れ、療養上の世話や医療処置を行っています。しかし、訪問看護だけでは対応できない医療ニーズも多く存在します。

例えば、新しい症状が出た場合、訪問看護師だけでは診断や治療方針の決定ができません。また、薬の処方や検査のオーダーも医師でなければ行えません。そのため、訪問看護師は医師と連携を取る必要がありますが、地理的な距離や医師の不足から、迅速な対応が難しいのが現状です。

総合診療科医師による訪問診療の必要性

そこで提案したいのが、総合診療科医師による訪問診療制度です。総合診療科医師は、幅広い疾患に対応できる知識と技能を持ち、患者さんを全人的に診ることができます。訪問診療を行うことで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 患者さんの自宅で診療を行うことで、通院の負担を軽減できる。
  • 患者さんの生活環境を把握し、より個別化された治療を提供できる。
  • 訪問看護師と連携し、より質の高い在宅医療を実現できる。
  • 地域住民の健康相談に乗り、疾病予防や健康増進に貢献できる。

具体例:地域包括ケアシステムとの連携

訪問診療は、地域包括ケアシステムと連携することで、さらに効果を発揮します。例えば、訪問診療で認知症の疑いがある患者さんを発見した場合、地域包括支援センターと連携し、早期介入を行うことができます。また、在宅療養中の患者さんが急変した場合、訪問診療医が迅速に対応し、必要に応じて病院への搬送を判断することができます。

今後の展望

訪問診療制度を構築するためには、医師の確保や報酬体系の整備など、解決すべき課題は少なくありません。しかし、医療困難地域に住む人々が、尊厳を持って暮らし続けるためには、訪問診療は必要不可欠な仕組みです。

令和の日本に求められるのは、病院中心の医療から、地域包括ケアを重視した医療への転換です。訪問診療は、その重要なピースとなるでしょう。私たちは、医療困難地域に住む人々が、いつまでも安心して暮らせる社会を目指して、訪問診療制度の実現に向けて尽力していく必要があります。