真のジャーナリストとは何か?記者会見での質問力と倫理を考える

真のジャーナリストとは何か——記者会見での「質問力」を考える

記者会見は、ジャーナリストにとって貴重な情報収集の場であり、権力者や企業、団体のトップなどに直接問いかけることができる数少ない機会である。しかし近年、一部の記者による挑発的な発言や、ヤジに近い言葉遣いが目立つ場面が増えているように感じる。記者が権力を監視し、真実を追求する姿勢を持つことはジャーナリズムの本質であるが、それが「攻撃的な態度」や「感情的な発言」と混同されてしまってはいないだろうか。

真のジャーナリストとは何か。その問いに対する答えの一つに、「鋭い質問力」があると私は考える。ここで言う「鋭さ」とは、相手を言い負かしたり、揚げ足を取ったりすることではなく、事実を明らかにし、社会にとって有益な情報を引き出す力のことである。会見の場では、時に権力側が曖昧な回答をしたり、論点をすり替えたりすることがある。しかし、そこで感情的になり、「なぜこんなひどいことをするのか!」と怒りに任せて問い詰めても、相手が防御的になり、結果的に真実が見えにくくなることも少なくない。

一方、「今回の判断の根拠となったデータは何ですか?」「過去の発言と矛盾するように見えますが、その整合性をどのように説明されますか?」「今回の決定に至るまでに、他の選択肢を検討しましたか?」といった論理的かつ具体的な質問を投げかければ、相手は回答せざるを得なくなり、より明確な情報が引き出される可能性が高まる。鋭い質問とは、相手を追い詰めるものではなく、言葉の網を張って真実をすくい上げるものなのだ。

また、ジャーナリストは単なる個人の意見を述べるのではなく、視聴者や読者の代理として質問をする立場にある。そのため、感情に流されるのではなく、多くの人が知りたいと思うポイントを整理し、的確な言葉を選んで質問する責任がある。視聴者が記者会見を通じて感じるべきなのは、記者の憤りや主張ではなく、事実そのものであるべきだ。記者が冷静で理路整然とした質問を重ねることで、権力側の曖昧な説明や矛盾点が浮き彫りになり、視聴者は自らの判断で真実を見極めることができる。

近年、記者会見の様子がインターネットやSNSを通じてリアルタイムで拡散され、多くの人々が記者の質問の仕方を目にする機会が増えている。そうした中で、記者が感情をあらわにしたり、挑発的な態度を取ったりすると、会見の本質よりも「記者の振る舞い」に注目が集まり、議論の方向がずれてしまうことがある。ジャーナリズムの本来の目的は、個人の意見をぶつけることではなく、社会にとって重要な情報を引き出し、共有することにあるはずだ。

記者会見での振る舞いが、ジャーナリズム全体の信頼性に直結する時代。ジャーナリストに求められるのは、鋭く、かつ誠実な質問力である。それは、単に権力に対して強く出ることではなく、事実を突き詰め、論理的に問い詰める力である。私たちは今一度、「真のジャーナリスト」とは何かを考え直し、記者のあり方について議論を深める必要があるのではないだろうか。