戦争の数学的解析から考える日本の防衛
令和7年(2025年)2月、石破首相とトランプ大統領との会談において、日本に対する防衛費増額の直接的な要求はなかった。しかし、今後4年間にわたりそのような要求がなされない保証はなく、国際情勢の変化に応じて日本が防衛政策を再考する必要性は依然として残っています。
現在、日本国内では軍備増強の議論が活発になっているが、本当に防衛力を増強すべきなのか、それとも抑制すべきなのかを、単なる地政学的観点ではなく、イギリスの学者ルイス・フライ・リチャードソン(Lewis Fry Richardson)の「戦争の数学的解析」理論を用いて考えてみました。
リチャードソンの戦争モデルとは?
リチャードソンは、戦争や軍拡競争の動態を数学的に記述しようと試みた。彼のモデルでは、二国間の軍拡競争は以下のような微分方程式で表されます。
\[\frac{dx}{dt}=ay−bx+c\frac{dx}{dt} = ay – bx + c \]
\[\frac{dy}{dt}=dx−ey+f\frac{dy}{dt} = dx – ey + f\]
ここで、
- xx は一国の軍事力(軍事予算や兵力など)、yy はもう一国の軍事力。
- aa や dd は相手国の軍拡が自国の軍備増強を促す度合い。
- bb や ee は軍拡の経済的・社会的負担による抑制効果。
- cc や ff は国民の戦争への関心や政治的要因など。
このモデルによれば、aa や dd が大きい場合、つまり相手国の軍拡が強い影響を与える状況では、両国の軍拡競争はエスカレートしやすくなります。逆に、bb や ee が大きい場合、経済的負担が大きくなるため軍備競争は抑制さます。
日本の防衛政策への応用
日本が防衛力を増強することは、リチャードソンのモデルにおける xx の増加を意味する。これに対し、近隣諸国(例えば中国や北朝鮮)がこれを警戒し、yy を増やすことで軍拡競争が加速する可能性があります。
一方で、日本が防衛費を抑制すれば、yy の増加も抑えられる可能性がある。しかし、それが必ずしも安全保障の向上につながるわけではなく、抑制が極端であれば抑止力の低下を招く恐れがあります。
重要なのは、aa や dd のような「相手国の軍拡に対する感受性」を慎重に分析し、日本がどの程度の防衛力を維持すべきかを数学的観点からも評価することである。単純に防衛費を増やす、あるいは減らすという議論ではなく、軍拡競争のダイナミクスを理解し、適切なバランスを見出すことが求められます。
おわりに
リチャードソンのモデルを考慮すると、日本が軍備を増強すれば、近隣諸国との軍拡競争が加速するリスクがある。一方で、過度な抑制は抑止力の低下を招きかねない。したがって、日本の防衛政策は単なる軍備拡大や削減の議論ではなく、相手国の反応を予測しながら最適なバランスを見極めることが肝要です。
今後も日本の防衛政策を考える上で、軍拡競争の数学的モデルを活用し、冷静かつ理論的な議論を進めることも必要ではないでしょうか。