近年、世界経済の舞台において二大経済大国として注目を集める中国とインド。2024年にはインドが中国を抜いて世界最大の人口を持つ国となりました。しかし、単純な人口の多さだけでなく、その人口構成ピラミッドを分析すると、両国の将来展望に大きな違いが見えてきます。今回は人口構成ピラミッドの観点からインドの優位性について考察してみたいと思います。
対照的な人口構成ピラミッド
中国とインドの人口構成ピラミッドを比較すると、その形状は驚くほど対照的です。中国のピラミッドは「釣り鐘型」から「壺型」へ移行しつつあります。これは生産年齢人口(15〜64歳)が多く、年少人口が減少している状態を示しています。一方、インドのピラミッドは「富士山型」から「釣り鐘型」へ移行する過程にあり、若年層が厚く、生産年齢人口が増加傾向にあります。
若年層の厚さがもたらす「人口ボーナス」
インドの人口構成ピラミッドで最も注目すべきは、若年層の厚さです。現在、インドの平均年齢は約28歳と若く、生産年齢人口は全人口の約65%を占めています。この「人口ボーナス期」は今後数十年続くと予測されており、経済成長の強力な原動力となるでしょう。
対照的に中国は一人っ子政策の影響もあり、急速な高齢化に直面しています。中国の平均年齢は約38歳で、生産年齢人口の割合は徐々に減少しつつあります。2050年には65歳以上の高齢者が人口の約30%を占めると予測されており、「人口オーナス(負担)期」に入りつつあります。
消費市場としての潜在力
若年層が多いインドは、消費市場としても大きな潜在力を秘めています。若い世代は新しい製品やサービスへの適応力が高く、消費意欲も旺盛です。特にデジタル技術への親和性が高い点は、今後のデジタル経済発展において大きなアドバンテージとなるでしょう。
中国市場も巨大ではありますが、高齢化に伴い、消費構造は医療や介護などのシニア向けサービスにシフトしていくことが予想されます。一方、インド市場は住宅、教育、エンターテイメントなど幅広い分野での成長が期待できます。
労働力としての魅力
グローバル企業にとって、豊富で若い労働力を持つインドは、製造業やサービス業の新たな拠点として非常に魅力的です。特にIT分野では、毎年多数の工学系卒業生を輩出しており、世界的に競争力のある人材を提供しています。
労働コストも中国と比較して依然として低く、中国からの製造拠点のシフト先としても注目されています。「チャイナ・プラス・ワン」戦略の中で、インドはその若い労働力によって大きなアドバンテージを持っています。
課題と展望
もちろん、インドにも課題はあります。教育の質、インフラ整備、雇用創出など、人口ボーナスを最大限に活かすためには解決すべき問題が多くあります。特に若年層の失業率は無視できない問題であり、人口ボーナスが「人口災害」に変わる可能性も否定できません。
しかし、モディ政権下での経済改革や「メイク・イン・インディア」政策、デジタル化の推進などにより、これらの課題に積極的に取り組んでいる姿勢は評価できます。
おわりに:インドの「人口優位性」
人口構成ピラミッドから読み取れるインドの優位性は明らかです。若年層が厚く、これから数十年は「人口ボーナス期」を享受できるインドは、中国が直面する高齢化問題に悩まされることなく、持続的な経済成長を遂げる可能性を秘めています。
世界経済におけるパワーバランスが変化する中、インドの人口構成が持つ優位性は、今後ますます重要な意味を持つでしょう。21世紀の「インド世紀」の到来を、人口構成ピラミッドは予見しているのかもしれません。